東京高等裁判所 昭和43年(ネ)341号 判決 1969年4月30日
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決中控訴人ら敗訴の部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の申立をなした。
当事者双方の主張及び証拠関係は、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
理由
当裁判所も、被控訴人は控訴人浅井、同多田両名の共同暴行による身体傷害により、合計一九万四、六六七円の財産上の損害を蒙り、かつそれによる精神的損害の慰藉料は金五万円が相当であり、また右は控訴人浅井、同多田が使用主である控訴人新徳商事の業務の執行につき被控訴人に加えた損害であり、控訴人らは連帯して右損害賠償の責に任ずべきものと判断する。その理由は原判決理由説示と同一であるから、ここに引用する。なお、本件暴行に至る経緯、暴行の態様、程度、被控訴人が控訴人浅井、同多田に対しその運転にかかる自動車の方向指示器の誤りを注意するに当り、その言辞に穏当を欠くものがあつたけれども、右控訴人両名の暴行に先立ち一旦被控訴人の方から下手に出て喧嘩を回避しようとした等の点に鑑みれば、右の諸事情を慰藉料額の算定に当り斟酌したことのほか、さらに本件損害賠償の額を定めるにつき被害者たる被控訴人の過失として斟酌することをしない。
してみれば、控訴人らに対し各自右各損害並びにこれに対する昭和四一年三月一七日以降完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を命じた原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、民訴法三八四条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。